クレームの本質とは

カスハラとはカスタマーハラスメントの略で、不当クレーム(要求内容や要求の手段・態様が不当なもの)や嫌がらせのことです。企業には安全配慮義務の一環として、カスタマーハラスメントを防止する措置をとる法律上の義務があります。

しかしながら、クレームの本質を理解しなければ、誤った対応によりクレームがカスハラ化し、余計な時間をその対策にかけることになります。

前回ブログ「それは本当に悪質なカスハラですか?カスハラに発展しない秘訣。」はこちら

今回はクレームの本質について詳しく解説します。

クレームとは何か?

クレームを解決するためには、「クレームの正体」を知らずして解決はできません。

前回ブログでご説明したようにクレームは「感情的なもの」と「金銭の要求を目的とするもの」に大別されます。ただ、一見、金銭目的に見えるものでも、ほとんどのクレームは「感情的」なものです。

「感情的なクレーム」に共通するのは、会社や組織のサービスに関係があるかないかにかかわらず、なんらかの原因により、自分という存在が脅かされているという「恐れ」をもっていることです。
例えば、想像してみてほしいのですが、会社や組織、社会に対してなんの不満もなく、尊重されている方がクレームを言うでしょうか。

自分は大切にされていない、認められていないという、自分の存在を脅かすものに対する心理的な「恐れ」が、クレームという形で「承認」を求めているのです。

クレームの発生メカニズム

クレームの発生メカニズムをもう少し詳しくお話しすると、人間を含め、爬虫類以上の生物すべてには「快・不快情動」があります。このなかの不快情動には、「不安、恐れ」があり、これは本能的には自らの命を守る「防衛反応」ともいえます。

つまり、クレームは自分を守るための「防衛反応」ということもできます。恐れ(不安)が解決されないと、防衛反応として怒りに変わるのです。

このため、クレームを言う方の感情を理解し、寄り添い、承認したときにクレームは終わって、笑顔に変わります。

カスハラ増加の背景

カスハラについては、UAゼンセンなどさまざまな団体が調査をしていますが、カスハラが増加している背景としては、「コロナ禍での閉塞感や孤立感の増大」「高齢化※」、「SNSの普及による顧客側の発言力の増大」などが言われています。
※「 迷惑行為をしていた顧客の推定年齢」(2024年UAゼンセン調べ)では、50〜70代で75・7%と全体の約8割を占め、そのうち60代が29・4%と最多となっています。

私見では、物質面では便利な世の中になっている一方で、コロナ禍もあいまって、本来、人との輪で満たされるべき「認められたい」「つながりの中で安心したい」といった欲求が満たされづらい世の中になった結果、孤独感や不安感など漠然とした「恐れ」がクレームという形で表面化しているのではないかと考えています。

つまり、一見、不当な要求目的の悪質なカスハラに見えても、ほとんどの場合は「感情的なもの(不安や恐れ)」である可能性があります。

ところが、現場では、マニュアル、テクニックといった表面的な対応となっていることも多く、「カスハラがきた! 怖い、面倒だ」という先入観が、微妙な身ぶり、手ぶり、表情、声のトーンといった非言語コミュニケーションを通してお客様に伝わり、より事態を悪化させている一面も考えられます。

マニュアル整備などの組織体制+クレーム対応教育 

もっとも、決してマニュアルを否定しているのではなく、企業にはカスタマーハラスメントを防止する義務があるため、組織的にマニュアルを整備し、悪質なカスハラに屈しない姿勢をみせるべきです。

要は、マニュアルだけでは不十分で、マニュアル整備など組織体制の構築と合わせて適切なクレーム対応を学ぶことで、顧客満足度と組織の生産性の向上につながるということです。

まとめ 

クレームの本質は「恐れ」です。つまり、クレームは自分を守るための「防衛反応」ということもできます。恐れ(不安)が解決されないと、防衛反応として怒りに変わるのです。

そして、カスハラのほとんどは「感情的なもの」がこじれたものです。

カスハラを予防するためには、マニュアル整備など組織体制の構築と合わせて、適切なクレーム対応を学ぶことで、大切な従業員を守り、組織の生産性の向上につながります。

※弊社では、マニュアルの見直しや独自メソッドのVRを使ったクレーム交渉力研修も行っております。クレーム・カスハラでお悩みの方は、下記お問い合わせフォームよりお気軽にお問合せください。

https://mentai-thunder.com/contact/

次回はクレーム・カスハラ対応における法律の役割について解説します。

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  2. クレーム・カスハラ対応における法律の役割

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