入札制度の概要と25兆円の市場

 皆さん、入札という言葉を聞いたことありますか?

 「自分とは関係ない」、「入札なんて出来レースで受注できるのは大企業に決まっている」、「新規では入札に参入できない」と思われていませんか?

入札=出来レース?それは大きな誤解です。

 今回は、そんな疑問に答えるべく、入札制度の概要と市場について解説します。

 入札とは、公共工事、物品、役務(サービス等の委託)において、国等や地方自治体(都道府県、市町村、特別区)が民間企業に依頼する際の、公平性や透明性を確保した契約方式です。

 入札案件は、官公庁が抱える社会課題を解決するために作成されます。

 このため、基本的には、社会課題が解決できるすべての企業が対象となります。

 何故、民間企業に依頼するかというと、官公庁が自分たちで解決するより、民間の事業者に依頼した方が効率やクオリティが高いものになる場合があるからです。

 業種としては、建設、土木、測量をはじめ、空調、清掃、警備、港湾調査、衣類、印刷、医薬品、自動車、公告・宣伝、写真、翻訳、HP制作等、官公庁の課題の数だけ案件があります

 にもかかわらず、自分とは関係ない、入札は難しいという印象があり、中小企業の約1割しか入札市場に参入しておらず、まだまだ参入の余地を多く秘めています。

 中小企業が官公庁の入札に参加することには、多くのメリットがあります。

 ・営業努力や広告宣伝は一切不要

 ・新規開拓や事業の拡大ができる

 ・下請けの会社でも、元請けになることができる

 ・受注単価が上がり、より高い利益を得ることができる

 ・仕事の時間配分が自由になり、経営者としての自由度が上がる

 ・地域の社会課題に貢献することができる

国や地方自治体から民間企業への発注額

 さて、国や地方自治体から民間企業に毎年発注される金額はいくらだと思いますか?

答えは約25兆円。しかも年々増加傾向です。

そして、うち中小企業が約7割を受注しています。(国等から約5兆円地方自治体から約12兆円合計17兆円

 入札は、新規の中小企業でも参入できる、公平で透明性の高い制度です。決して出来レースではありません。

出典:官公需法に基づく「令和4年度国等の契約の基本方針」の概要等について(中小企業庁)
出典:官公需法に基づく「令和4年度国等の契約の基本方針」の概要等について(中小企業庁)

発注額が増加している背景と官公需法

 ここで、こんな疑問をもたれませんでしたか?

 疑問その1:何故、発注額が年々増加してるのか?

 疑問その2:何故、大企業ではなく中小企業が約7割を受注しているのか?

 まず、発注額が年々増加している背景としては、公務員の減少、財政の逼迫、社会の多様化です。

 特に社会の多様化により、地域住民向けのアプリ開発、空き家対策、観光対策、地域活性化、女性活躍推進などが行政に求められており、これらの課題解決のノウハウを民間企業に求めているというわけです。

 これが、僕が行政と企業は必要不可欠なパートナーと言っている理由です。

 次に中小企業が約7割を受注している理由は、「官公需法」という、中小企業の受注機会の増大に努力するように定めた法律が存在するからです。そして、地方自治体も、国に準じて取組を行うよう努めることとされています。【同法第8条】

 ちなみに、毎年、中小企業庁から国等の中小企業・小規模事業者向けの契約目標が公表されます。

 令和5年度の国等の契約目標額は5兆6,598億円※です。(前年度比+3,860億円)

 ※地方自治体の契約目標は、ここに含まれていません。

入札の種類

 では、入札にどんな種類があるかみていきましょう。入札の種類は大きく分けて、「一般競争入札」「指名競争入札」「随意契約」の3つがあります。

 それぞれの入札方法の違いは次の通りです。

一般競争入札とは

 一般競争入札とは、最も公平性や透明性が高く機会が均等な入札です。

 一般競争入札は、入札の資格を有する不特定多数の希望者が参加する方式です。

 発注機関にとって、最も有利な条件を提示した企業と契約を締結します。

指名競争入札とは

 指名競争入札とは、不良・不適格者な入札希望者が入ってこない入札です。

 対象となる企業は、発注機関が各企業の資金力や信用などの情報を元に決定します。

 入札参加を希望しても、発注機関による指名がなければ参加できません。

 実績や信用性を考慮するため、実績がない新規参入企業は参加そのものが難しいことがデメリットです。

随意契約とは

 随意契約とは、例外的に、発注者が事業者を選ぶ方法です。

 入札による競争はないものの、提示した金額が妥当か判断するために2社以上の見積が確認されます。

 随意契約のなかには、「提案」により事業者を選定する「プロポーザル」や、公募型の少額随意契約である「オープンカウンター」といった競争性が高いものもあります。

まとめ

 入札制度は、新規の中小企業でも参入できる公平で透明性の高い制度です。入札市場は年々増加傾向にあります。営業努力や広告宣伝は一切不要で、受注単価も上がって、経営者としての自由度もあがります。しかも、あなたの力で地域の社会課題の解決に貢献することができます。

 ぜひ、この機会に入札に参加されてみてはいかがでしょうか?

※自社が実際入札に参加できるか等、知りたい方はお気軽にお問合せください。

https://mentai-thunder.com/contact/

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