前回は、ファンジブルトークン(FT)、暗号資産、トークンについて説明しました。
今回は、ノンファンジブルトークン、NFT(エヌエフティ)について解説していきます。
前回のブログ「Web3とは何か(その4)トークン編」はこちらをクリック
ノンファンジブルトークンとNFTとの違い
ファンジブルトークンとは、「代替可能な」資産のことであり、ビットコインなどの暗号資産はファンジブルトークン(FT)に分類されます。
それに対して、ノンファンジブルトークンとは「代替不可な」資産のことであり、代表的なものとしては画家の直筆の「絵画」があげられます。まったく同一のものは存在せず、他のもので代替できません。それゆえに希少性があるのです。
この概念をブロックチェーン技術を利用することで「デジタル上での唯一性」を実現したのが、NFT(非代替性トークン)です。各NFTには、他のNFTと区別される識別子がつけられており、作品の制作者や過去の所有者の情報なども、全て記録されています。
簡単にいうと、NFTとは、ブロックチェーンに紐づいた所有権付きのデジタルデータのことです。
因みに、NFTはブロックチェーン上のプログラムであるスマートコントラクトにより発行されます。
●NFTの活用例
ゲーム、アート、音楽、動画、ファッション、トレーディングカード、会員権、不動産など
【NFTの特徴】
・代替不可であるため希少性がある
・所有するNFTを自由に取引可能
・相互運用性がある。例えば、大半のNFTは「ERC721」という共通の規格で発行されているため、この規格に準じているマーケットプレイスであれば原則どこでも取引が可能
・NFTに様々な付加機能を追加可能(=プログラマビリティ)。例えば、売買の度に1次創作者にロイヤリティが入るように設計することも可能
NFTへの誤解
NFTについて、皆さんが勘違いしていることがあります。それは、必ずしもNFTの全てのデータがブロックチェーンに紐づいているとは限らないことです。
例えば、アートのNFTであれば保有者情報と画像などのデータがあります。ただ、ブロックチェーンに一度に保存できるデータ量が小さいことや、コストの関係から、データ容量の大きい画像をブロックチェーンに保存するには、技術的、経済的なハードルがあります。(コストについては、また次の機会に説明します。)
このため、現在、ほとんどのNFTが画像データをサーバーで管理しています。ということは、もしサーバー上の画像データが消えたら、NFTの画像データもなくなります。
NFTは画像データの管理方法によって、次の2つに分かれています。
オンチェーンNFT ▶ 画像データをブロックチェーン上で管理するNFT
オフチェーンNFT ▶ 画像データをサーバーのデータベースで管理しているNFT ☚ほとんどこれ
因みに、画像データを含め全てのデータが保存されているNFTは、フルオンチェーンNFTといって現在数えるほどしかありません。ただ、NFTの趣旨を考えると、今後、フルオンチェーンNFTは増えてくるかもしれません。
※2023.6.10追記 これまでのNFTはイーサリアムを基盤とするものが主流でしたが、最近ではビットコインを用いたフルオンチェーンNFTである、ビットコインNFT(Ordinals/オーディナルス)が注目を集めています。
暗号資産とNFTとの違い
NFTは非代替性トークンといって、ブロックチェーンで発行された唯一無二のデジタルデータと説明しました。
では、ビットコインなどの暗号資産とNFTは何が違うのでしょうか?
暗号資産は、他の暗号資産や現金と交換することができ、「代替可能な」通貨として使用可能です。
一方でNFTは直接的に通貨としては利用できませんが、「代替不可な」デジタルデータです。ただ、このデータ自体に資産価値を持たせることができます。
つまり、暗号資産とNFTの違いは、代替性の有無です。
まとめ
以上をまとめると、次のように整理することができます。
・ノンファンジブルトークンとは、絵画などの「代替不可」な資産
・NFTとは、ブロックチェーン技術を利用することで「デジタル上での唯一性」を実現した非代替性トークン
・NFTはブロックチェーン上のプログラムであるスマートコントラクトにより発行される
・NFTは画像データの管理方法によって、オンチェーンとオフチェーンがある
・暗号資産とNFTとの違いは、代替性があるかないか
●NFTの活用例
ゲーム、アート、音楽、動画、ファッション、トレーディングカード、会員権、不動産など
【NFTの特徴】
・希少性
・取引可能性
・相互運用性
・様々な付加機能を追加可能(=プログラマビリティ)
次回は、DiFi(ディーファイ)と呼ばれる分散型金融について解説していきます。
※自社でWeb3が活用できるか知りたい方はお気軽にお問合せください。
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